今さら聞けないモダン柔術
JUGEMテーマ:ブラジリアン柔術
ねーねー。モダン柔術って何?
ん?あれだよ。焼きそばが入ったお好み焼きだろ。
それはモダン焼きだろ。ふざけるな。つまらんし。
あれだろ、ベリンボロとか50/50とかだろ。
それがモダン(近代的)なの?
さーね。そんなの俺に聞くなよ。よくわかってないんだから。
調べてこいよーー。
しょうがないなーー。じゃ、専門家呼んでくるわ。
かねこさーーーん
どうもモダン柔術と言えば私、金古です。
金古一朗 (かねこいちろう)39歳 ポゴナ・クラブジム所属
2010、2012、2013、2014全日本選手権黒帯ライトフェザー級優勝
2012アジアオープンアダルト黒帯ライトフェザー級優勝
2013ワールドマスターズマスター2黒帯ライトフェザー級準優勝
2014ワールドマスターズマスター2黒帯ライトフェザー級3位
やっと同年代の方が出てきましたね。金古さんはLetsBJJ世代の星ですよ。
戦績がすごいでしょ。国内黒帯ライトフェザーの門番ですよ。
そして、ワールドマスター黒帯でも2位、3位って。凄すぎ。
藤原
では、金古さん、今日は色々モダン柔術についてお伺いしたいんですけど、
結局モダン柔術って何なんですか?みんなわかってるようで、わかってないような気がするんですよ。
金古一朗
いや、その前に挨拶代りに1曲弾らせてください。
おお!ギターで挨拶!!スティーブ・ヴァイみたいだ!!
ギター上手ですね。そう。金古さんはギターの先生もやってるんですよ。
柔術も黒帯、ギターも黒帯ってわけですよ。すごいですね。
パチパチパチ。
金古一朗
『サンキュー!!もう一曲いこうか!?』
藤原
あ、もう大丈夫です。
金古一朗
『しょぼ〜ん。』
藤原
では、あらためて質問します。モダン柔術についてなんですが。
モダンっていうからには近代的なって意味なんでしょうけど
どの辺が近代的なんですか?
金古一朗
モダン柔術というのはメンデス兄弟を始めとするATOS勢が中心となって生み出したムーブメントです。
それまでの柔術はその時代その時代で、新たなガードやスイープ、
パスガードが生まれることはありましたがスイープ、パス、マウントorバック、
極めといった手順は普遍的なものでした。
そんな中スイープ、パスガード等の途中経過に拘らず、どこのポジションからも
バックを狙っていくことを第一に考え生み出された技術体系です。
トップとガードという概念すらも打ち砕くようなこのスタイルは
近年の競技柔術において正しく革命をもたらしたと言っていいでしょう。
藤原
なるほど。早い話、モダン柔術=どこからでもバック取りに行く柔術なんですね。
金古一朗
他にも50/50に代表されるような複雑な、まるでパズルのような
ガードであったり、そういった進化系技術の総称としてモダン柔術と呼んでますね。
藤原
金古さんもモダン柔術をやるんですよね?
金古一朗
はい、一応トップ選手なので一通り出来るようにはしています。
今は国際大会出るレベルだと、モダンの習得は必須事項ですからね。
藤原
国際大会によく出る金古さんですが。国内大会はモダンテクニックを使う人の数って
現状多いんでしょうか?また、もっと使う人が増えたら、国内のレベルももっと上がるとおもいますか?
金古一朗
若い人の方が対応力もあるし、比較的抵抗なく取り入れている人が多い気がします。
逆にベテランのおじさんの方が、今までやってきた技術への拘りが強く
なかなかモダンを取り入れられない。という側面もあると思います。 僕も相当苦労しました(笑)
各道場に当たり前にベリンボロを使える人がいるような状況になれば国内のレベルも上がると思いますよ。
藤原
なるほど。モダン柔術の代表的な技と言えばなんでしょうか?
金古一朗
やっぱりベリンボロでしょう!この立体的な技の組み立て方であったり
どこのポジションからでもバックに付ける利便性であったり、
正にモダン柔術の象徴とも言える技ですね。
ご存じ、ベリンボロ
メンデス兄弟のベリンボロはちょっと、テクニカル過ぎて意味わからない・・。
藤原
モダン柔術はクラシカル柔術よりも難しいのですか?
金古一朗
何をもって難しいと言うかは人それぞれだと思います。
ベーシックな技術で黒帯からパスガードを奪うのは凄く難しいことですし。
ただ打ち込みレベルの話で言えば、モダン系の技術はクラシカル系の技術と比べ手順も多く難しいと言えるでしょう。
藤原
柔術は常に最新の技が出てくるように思えますが、
モダン柔術というのは、もっと根幹に関わる革命なのでしょうか?
金古一朗
最初に説明しましたが、今までもその時代その時代で最新技術はありましたが
トップとガード、スイープしてパスガードしてから極めるという流れは基本的に守られていました。
この考えを根本から覆しまずスイープではなくまずバック、まずパスではなく、まずバック、
みたいに攻防の中での最優先事項が今までと変わってきたというのが一番大きな違いでしょうか。
藤原
2回同じ事言わせちゃってすいません。それはやっぱり根幹にかかわりますね。
金古一朗
ダブルガードみたいに上下の攻防すら否定して、ひたすらバックを
狙い合う攻防なんかが出てきたのも大きな特徴ですよね。
ダブルガード=開始早々、いきなり二人で座る動き。
藤原
ダブルガード!!今度ダブルガードについても特集組みたいです。
バック狙いのために、戦略自体が大きく変わったってことですよね。
金古一朗
そうですね。戦略の幅自体も広がってきました。
昔だったらスイープ出来そうだったら即してましたが
今はひっくり返した後の体勢まで考えてなるべく
レッグドラッグ等のいい体勢になるようにスイープしたりと
ガードからの戦略自体もより細かくなってきています。
藤原
う〜ん。青帯の私には難解・・。
逆にクラシカル柔術と呼ばれるものは試合では勝てなくなっているのですか?
金古一朗
そんなことはないと思いますよ。例えばレアンドロ・ロのスタイルなんかは
とりあえずスイープして、後は爆発的に動き続けてパスガードする、
みたいな非常にオーソドックスなものです。
他にもルーカス・レプリなんかも比較的シンプルなテクニックで勝っていってます。
藤原
クロン・グレイシーも、クラシカルスタイルですよね。あと西村修も。
金古一朗
西村修はプロレスですね。
これは僕の個人的な意見ですがオーソドックススタイルで勝つには
ずば抜けたフィジカルが必要だと思います。
基本的な技で勝負を決めるには一発一発の技が強くないといけないんですよ。
一発の技が強力であるためには必然的にフィジカルが強くないとダメだと思います。
藤原
フィジカルといえば、オリビア・ニュートン=ジョンですね。
ところで、モダン柔術はクラシカル柔術が出来てないと、できないものなのですか?
金古一朗
これは意見が分かれる所ですが、基本的にはどちらから入っていってもいいんじゃないかと思います。
ポゴナにも渡辺兄弟というモダン柔術が上手い子達がいますが、
弟の方は入った当初からベリンボロやってましたから。
初めは自分がカッコいいと思ったのをやるのが一番ですよ。
後から基本の重要性に気付いてハーフの足抜きとかやったっていいと思います。
結論としては、いきなりモダンもありだと思います
藤原
お好み焼きも、いきなりモダン焼きから食べたら、焼きそばもお好み焼きも
解らないまま一生を終えますからね。
ところで、体の大きな人でもモダン柔術はできますか?
金古一朗
大丈夫ですよ。ただ柔軟性は必要だと思います。
あまり体が柔らかくない人にはお薦め出来ないかも知れないです。
藤原
体がデカいと怪我しますかね??
金古 一朗
怪我もそうですが多分下からのベリンボロの仕掛けにストレスを感じることは多いかもしれません。
あと、お腹が出ている人もお腹が邪魔してお尻を上げ辛くなるのでやりにくいかもしれませんね。
藤原
モダン柔術家は、みんなスリムですもんね。私はあきらめました。
ところで、モダン柔術が出てきたことによって、柔術の護身術としての側面が
薄れてしまって、それを批判する人も多いですが、金古さんはどう思いますか?
金古一朗
僕はアンチ護身術派です(笑) 全くナンセンスな意見だと思います。
路上だったらとかMMAだったらとかどうでもいいです! ここは熱く語らせて下さい!
藤原
アンチ加護ちゃん!?あ、アンチ護身術!?おおっと急に、前のめり!!
金古一朗
今は柔術が世に出る切っ掛けとなった第1回アルティメット大会が開催された
1993年からもう21年たっています。
世界中の総合格闘家が寝技の重要性に気付き練習に柔術を取り入れ、
そしてディフェンス技術も格段に進歩しました。
もうただ柔術をやっているというだけで
MMAにおいてアドバンテージを得られる時代はとっくに終わっています。
藤原
ほぅほぅ。
金古一朗
今は競技として成熟していく時代に進化させるべきなんです!
他競技を見ても例えば柔道家が投げた後に勢いで下になってしまう光景は
よく見ますがあれをMMA的にはよくないなんて言う人がいたらナンセンスだと思います。
藤原
確かに。まぁ初期から好きな人は最強格闘技としてのグレイシー柔術が
好きですからね。ただ、テクニカルなモダン柔術にもロマンはありますよね。
それって、ロックに似てますね。ジミヘンしか認めない。って人にイングヴェイの
良さが伝わらない状況みたいな・・。インギーはあれでもジミヘン崇拝してますからね。
(あ〜でも今みるとジミヘンの方がかっこいいな・・・。あ、やべ全然話聞いてなかった。)
金古一朗
ボクシングで足を止めて近距離での打ち合いを
あんなタックルもらう距離で打ち合ったら路上では
やられてしまうだなんて言う人いたら、
この人頭おかしいんじゃないかって思うかもしれません。
藤原
(話、長!!まだ続いてたのか・・。)
金古一朗
僕らが普段道場でやっているのは基本的には
IBJJFが定めたルールに沿った練習のはずです。
道場での練習中にいきなりヒールホールドやったりスラムをする人がいたら僕は間違いなく注意します。
競技というのはそのルールに沿って進化していくべきだと僕は考えます。
だからそのルールが気に食わない人がいたら
ヒクソンみたく新しい連盟を立ち上げて新しいルールの柔術を
立ち上げればいいんだと思います。
引き込みはマイナス2点とか背中から勢いよく叩きつけるテイクダウンには4点みたいな。
藤原
ヒクソンの新連盟うまくいくんですかね・・。
IBJJFも今後ルールが変わって、モダン柔術はまた、違う形に変わる可能性はあるのでしょうか?
金古一朗
それはあり得るでしょうね。今はダブルガードは20秒という縛りも出てきましたし
今後も色々ルールの変更によって違う形の技術が、脚光を浴びたりすることは今後もあると思います。
藤原
えーっと、護身術について熱く語る・・は、以上でいいですか?
金古一朗
まだ言い足りない部分もあるんですが、
まあこれ以上は炎上を避けるためにも抑えておきたいと思います。 大人なので(笑)
藤原
モダン柔術をやらない、クラシカル柔術しかやらない道場も沢山あると思うんですが
それについてはどう思いますか?
金古一朗
それは全然いいと思いますよ! 僕も特にモダン柔術を一般の道場生に推奨しているわけではありません。
普段のクラスではベリンボロも50/50もまずやらないですし。
今はそれこそYouTube等でいくらでも勉強出来る時代なので
各自取り入れていく感じでもいいのかなとは思います。
藤原
普段のクラスで、ベリンボロや50/50をやらない理由は何かあるのでしょうか?
金古一朗
ベリンボロや50/50等の技術をあまりやらないのは、
結局、教えても打ち込みをしないと使えるようにならないからです。
一般の道場生はそこまで打ち込みしないですからね。
打ち込みしている人には個人的に教えたりすることもあります。
後はポゴナの場合は週に3クラスしかないので、
どうしてもその中で優先順位を付けるとなると
ベーシックな物を選択せざるをえないということもありますね。
藤原
なるほど。モダンは打ち込みが重要なんですね。
金古さんはポゴナ以外でもどこかで教えてらっしゃるんですか?
金古一朗
他のジムで一般のクラスで教えることはないですが、
プライベートレッスン等で他のジムの方に、よく来て頂いたりはしています。
藤原
モダン柔術の練習法について教えてください。
金古一朗
やっぱり動画を見て研究することは凄く大切ですね。
新しい流れなので、色々技のバリエーションが増えたりもしますし
今の最前線の試合や教則動画をマメにチェックすることは大切だと思います。
あとはやっぱり打ち込みですかね。
技の手順が複雑なものが多いので打ち込みはなるべく多くした方がいいと思います。
藤原
金古さんは確か、場面を設定して、技の打ち込みをやるんですよね。
金古一朗
そういう打ち込みもします。最初の技を防いでもらって、
そのリアクションに対してのカウンターを取る打ち込みとかは普通にしますよ。
藤原
その場面打ちこみにおける注意点があれば教えてください。
金古一朗
機械的になりすぎないことでしょうか。
最初は体に動きをインプットさせるために、ひたすら機械的にやりますが、
慣れてきたら相手に動いたり何らかのリアクションをしてもらったりします。
そこで違う技を仕掛けたりしてなるべく通常のスパーに近い流れにします。
「打ち込み以上、スパー以下」みたいな感じでやるとより実戦でも使えるようになるんじゃないかなと思います。
藤原
もう、そうなると打ち込みパートナーが重要になってきますね。
だから、双子は都合がいいのか・・。
ところで、金古さんのDVDはモダン柔術を扱っていますか?
エクストリーム・スパイダーガード!!(究極の蜘蛛防御)
金古一朗
エクストリームスパイダーガードは、そこまでモダンという訳ではないですね。
ただ来年辺りモダンテクニックを中心とした教則を出そうかなとま考えています。
藤原
おっと!!これは公開してもいい情報ですか?
金古一朗
いいですよ。ただ多分自作になると思います。
藤原
楽しみですね。国内でも珍しいモダン柔術の教則DVD楽しみにしています。
エクストリームスパイダーガードは今どこで買えますか?
金古一朗
柔術新聞ショップとかフルフォース、イサミ、ブルテリアとかでしょうか。
Facebook等でお友達の方とかはメッセとかいただければ直接送りますよ♪
藤原
金古さんが普段練習してらっしゃる、ポゴナクラブジムについて教えてください。
金古一朗
うちは割かしサークルというか部活ノリの延長でここまできた感じです。
僕もクラスで教えてはいますが、どちらかというと先生というよりは
「部長」といったかんじでしょうか。強い選手も多く黒帯が二人、
茶帯が10人位います。みんな仲良いですよ。
藤原
大人の部活の部長さん!!そして、茶帯が10人!!!
楽しそうです。いつか出稽古にお邪魔します。
今日は、色々と教えて頂きありがとうございました。
金古一朗
どういたしまして、ロックンロール!!!
どう?モダン柔術についてよくわかった?
金古さんノリノリじゃん、どんだけ写真撮ってんのよ。
奥さんが撮影したらしいよ。
宣伝
2014金古一朗セミナーツアー開催!!!
パスされるなんてもってのほか!完璧な構成で
ベウナウド・ピテウやガブリエル・ウィルコックスら
海外トップ選手も釘付けにした金古一朗選手のスパイダーガード、
是非直接ご体験を!!!!
2014年11月30日・・・名古屋北スポーツセンター
2014年12月6・7日・・・北九州市小倉BOHEMIANS道場
詳しくはこちら
- 2014.11.25 Tuesday
- シリーズ『そうだ黒帯に聞いてみよう』
- 11:05
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- by 藤原