『アメリカで柔術やってます。』商社勤務 宮本周平さんインタビュー

JUGEMテーマ:ブラジリアン柔術

 

みなさんアメリカの柔術事情って知りたくないですか?今回は、知り合いのアメリカニュージャージー州在住宮本さんをインタビューしました。ではご覧ください。

 

宮本周平(みやもとしゅうへい)さん。41歳 

Silver Fox BJJ(シルバーフォックスBJJ、米国ニュージャージー州、)青帯(2016年現在)

 

 

●お仕事について教えてください。

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一言で言うと日系の中堅の商社/メーカーで開発営業をしています。2003年からアメリカ赴任になり、これまでミネソタ州、コロラド州、ニュージャージー州で仕事をしてきました。主なテリトリーは北米とヨーロッパ。現地の顧客のニーズを聞いて、それをアジアの担当者に伝え、開発し販売するというビジネスモデルです。単純なもの、簡単なものでは商売にならないので、いつもどうやって他との差異を際だたせることが出来るかというのを考えています。

 

 

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私の担当している主な製品は印刷機の部品や太陽光パネルを生産するための設備に入る部品ですが、最近では日本酒を世界に広めようというプロジェクトにも参加しています。このプロジェクトでも私は北米、ヨーロッパが担当で、日本での日本酒消費量が減少している中、レアな日本酒を世界に紹介しようと日本、香港、上海の社員と一緒にトライしています。「数百年続いた酒蔵が無くなっていくのを見るのは忍びない」ということからこのプロジェクトが始まったのですが、今はアメリカやカナダのアルコール飲料製品に関する法的な規制への対応に四苦八苦しています。


元々大学、大学院では機械工学を学んでいたのですが、今はそれとは全く関係のない製品を扱うことも珍しくなくなってきていますね。フレキシブルに何でもしないと食っていけない。(笑)

 


●柔術歴について教えてください。

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柔術歴は2年2ヶ月です。始めたのはコロラド州にあるPrime BJJ(プライムBJJ)という道場です。仕事の関係で2015年6月にニュージャージー州に引っ越してきてから現在のシルバーフォックスBJJで練習をしています。ちなみにシルバーフォックスBJJはヘンゾ・グレイシー系の道場です。


 ●どんなきっかけで柔術をはじめたんですか? 

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もともと大学時代に少林寺拳法系の拳法をやっていまして格闘技にはずっと興味がありました。2003年に米国に来てからはジムに行ってウエイトトレーニングや遊びでウォールクライミングをやっているだけで、それ以外は特に何もしていませんでした。

 

そんな中、子どもが地元の学校に通うようになり英語も理解できるようになってきた頃に「何か一緒にできるものは無いか」と思っていました。その当時は特に武道でなくても良かったのですが「とりあえず親子で同じスポーツができたらな」と漠然と思っていました。

 

 

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ちょうどその時、大学時代の後輩から七帝柔道記を勧められまして、読んで感銘を受け、更に同じ時期に別の友人の子どもがブラジリアン柔術をやっていることを知り、その道場に見学に行きました。即決でしたね。

 

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子どもたちが伸び伸びと楽しそうに練習をしているのを見て、行ったその日にその場で始めることを決めました。その時一緒に始めた長男も私と同じ道場でまだ柔術をやっています。今では私の方が柔術に入れ込んでしまっている感もあるのですが。


●通ってるアカデミーの練習メニューってどんな感じなんですか?

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今の道場の例を挙げますと、柔術のクラスはベーシッククラスとアドバンスドクラスに分かれています。レッスンはともに一時間。前後でクラスが有るので始まりも終わりも時間は厳守されます。


ベーシッククラスでは道場内でのジョギング、エビなどの基本運動、ストレッチがあった後、テクニックの時間となります。

 

テクニックはテイクダウン→ポジショニング、エスケープを2〜3種→関節技か絞め技という手順で解説することが多いですね。インストラクターが見本を見せて重要な点を解説した後、それを生徒が、なるべく背丈が同じくらいの人が組んで、二人一組になって繰り返し練習する。ベーシッククラスではスパーリングがありません。


アドバンスドクラスでは最初の準備運動がなく、その代わりに二人一組なって「フローロール」というものを行います。ちなみにアメリカではスパーリングのことをローリング(rolling)と言います。これはブラジリアン柔術特有の言い方だと思います。

 

このフローロールは通常のスパーリングの数十パーセントの力とスピードで動きを確認しながら交互に技を掛け合います。こちらのクラスでは背丈も体格も何もなく自由に二人一組になります。


その後、インストラクターのテクニックの時間となります。アドバンスドクラスでは少し難しいテクニック、例えばベリンボロ、デラヒーバガード、エックスガードなどを学びます。それが終了したら5分4ラウンドのスパーリングがあります。


最初に通った道場はベーシッククラスから入ったのですが、練習の一日目からいきなりスパーリングに参加できましたので、習熟度に応じてのスパーリングの有無は道場の方針によるのだと思います。


ベーシッククラスもアドバンスドクラスも両方共、月曜日から土曜日まで毎日ありますので好きな日に好きな時間に行けば良い。忙しい人や曜日を決めて通うことの出来ない人でも続けやすいシステムになっていると思います。


今通っている道場もそうなのですが、中規模以上の道場にはほとんどGiとNo-Giのクラスがあります。またキックボクシングのクラスも有り柔術と合わせて参加している人も多いです。中にはプロのMMAの興行に出場している人もいますね。


たまにアメリカ国内で出稽古をすることがあるのですが、一方がグローブを付けて、一方がグローブ無しでというような変則的な状況で練習をしているところもあります。実戦になると相手が殴らないという保証はない。セルフディフェンスの観点ですね。普通の乱捕りとは全く異なるので2分限定でも普段の倍以上に疲れます。


●やはりアメリカでは柔術は流行っていますか? 

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(NYタイムズスクエアでもレスリング大会をやったりと、組技は浸透している様子)


いろいろな人に聞きますが、ここ5年ほどで急激に競技人口は増えているようです。私はまだ二年しか柔術をやっていませんが、レスリング道場を間借りして柔術道場を始めた黒帯の人を何名か知っています。

 

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また、日本でも問題になっている小中高のいじめの問題はこちらでもあります。何かあったときのために対処できるようにと子どもに柔術を習わせる親も多いですね。女性のみのクラスを設けて、セルフディフェンスを前に打ち出してPRしている道場もあります。


そういう意味で言うと従来のメイン層である20代〜30代の男性だけでなく、幅広く拡大してきているとも言えると思います。たまに柔術のTシャツを着ている人を見ますし。

 

そしてこれはアメリカと日本との文化的な話になりますが、アメリカの柔術の道場の色んなところを訪問して感じたことなのですが、得てして日本のいわゆる武道とは対極だと感じます。良い言い方をしたらフレンドリー、悪くいうと礼儀がなっていない。

 

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例えば今通っている道場はシルバーフォックスBJJという名前なのですが、これは道場主のニックネーム「シルバーフォックス」から来ています。柔術の技術書「Fluid BJJ」も書いている人なんですが、私はこの道場主を本名で呼んだことがありません。どの生徒も50歳に近い道場主を「フォックス」と呼んでいます。

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皆、彼の本名を知っているのですが、ほとんどの人が愛称で呼んでいますね。和やかな雰囲気の中、柔術を楽しんでいます。


逆に、これは私が初めて見たときに非常に驚いたのですが、先生やコーチの話を聞くときでもマットの上に寝転んで聞いていたり、肘をついて聞いていたりする生徒も見受けられます。またマットにあがる前に礼をする人も少ない。このあたりは文化的な違いや道場の方針も有るのでこんなものかなといつも思っています。私が日本人なのでこれをネガティブに思うのかもしれません。

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たまにキチンと正座をしている人やマットにあがる前に礼をしている人を見るのですが、聞いてみたらブラジリアン柔術の前に空手や他の武道をやっていたとのこと。そういうのを聞くと少し嬉しくなりますね。


●どれくらいのペースで練習しているんですか? 
平均で週2-3回と行ったところでしょうか。仕事柄、月に最低一回は一週間から十日間の出張があります。そのためその期間はほとんど練習ができませんので、出張のない期間はなるべく練習には参加しようと心がけています。5日ぐらい練習をあけてしまうと自然に体がうずきますね。「受け身を取ってマットを叩きたい」「組み合ってゴロゴロ転がりたい」「オモプラッタをかけられて肩の筋をほぐしたい」とフツフツと思うようになってきます。


たまに「Blue Belt Plateau」とか「Blue Belt Blues」とか言われる青帯特有の倦怠期といいましょうか、マンネリ感というのが柔術関連のネット記事で取り上げられていますが、私の場合は幸せなことに全く無いですね。否が応でも出張で毎月1週間は柔術が出来ないので、逆にこれが心身ともによい休みになっているのかもしれません。大きな怪我をしたこともないですし。


働き方の多様性の為なのかクラスの数も多く、夜のクラスだけでなく、早朝6時半からのクラスや昼の12時半のクラスもあります。私は月曜日の早朝のクラスに参加するように努めていますが、その朝クラスには学生さんや昼や夜に働く人、夜勤明けの人など様々な人が参加しています。休み明けの月曜日の朝一番に汗をかいて一週間を始めるというのは、週末にだらけた心身を戻すという意味でも良いことだと感じますね。朝、家を出る時は非常に億劫ですが、練習が終わった後は爽快感。道場内にシャワーも完備されていますので、さっぱりした後、そのまま仕事に行く人もいます。


朝のクラス以外では週末のクラスに参加することが多いです。日曜日のオープンマットでも自由に打ち込みをやったりスパーリングをやったりしています。


●柔術の魅力を教えてください。 

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これは柔術に限られたことではないかもしれませんが、三十代後半ぐらいになると、特に男性は仕事以外で新しく知り合う人が極端に少なくなると思います。例えば年末に一年を振り返ってみてその年にプライベートで知人になった人を数えてみると僅かである人がほとんどではないでしょうか?


柔術の道場にはいろいろな人が集まってきます。今は都会に住んでいるので本当に様々な人が在籍しています。5歳になりたての子どもからリタイアした私の父親と同じくらいのおじいさんも。中には半身に障がいを持ちながら定期的に練習に参加して青帯を取得した人もいます。国籍も東南アジア、南米、ヨーロッパなど多種多様です。普段の生活では出会えないような人と定期的に会え、一緒に同じ競技で汗を流し、柔術に関してのみならず一般的な事柄に関して情報や意見を交換し合うというのは他では味わうことのできないことだと思います。

 

 

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道場では私は年齢がかなり高い方なのですが、一回りも二回りも歳の離れた人たちから学ぶことも多いですね。また、出稽古の制度はブラジリアン柔術特有のものだと思います。この制度がとても気に入っていまして、私も旅先でその地の道場を訪問して練習に参加させてもらっています。

 

行くことが決まっている町の道場をネットで検索して、1週間ぐらい前にアポを取り、出稽古制度の有無、必要なものなどを確認して当日訪問。出稽古料が必要なところもあれば無料のところもあります。同じ系列の道場であれば無料という特典がある場合もあります。有料の場合15ドル〜40ドルと都会か田舎か、有名なインストラクターがいるかどうかなど色々な条件で値段が有るようです。


統一したルールで行っているので全世界何処に行っても練習ができるというのはブラジリアン柔術の良い点だと思います。出稽古の制度が当たり前になっているので、どの道場も別に排他的でなく普通に接してくれますし。


また言語的にハードルがあっても「タップ!!」さえ言うことが出来たらなんとかなります。「タップ」は柔術の共通言語です。(笑)
日本で柔術をやられる方で海外に行く機会があれば是非一度地元の道場を訪問されることをおすすめします。

 

技術的にもスタイルが異なり、新しい発見が必ず有ると思います。私も出張で日本に帰る際は神戸にある柔専館さんでいつもお世話になっています。この道場も優しい方ばかりです。


●今後の抱負を教えてください。

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長期的な目標は、私は末永く柔術をやっていきたいと思っていますので、大きな怪我さえしなければ万々歳かと。

 

続けていく間に世界各地の道場を訪問してみたいです。また、私の子どもが今後も柔術を続けていくかどうか分かりませんが、彼がやりたいといえばそれをサポートできるようにはしたいですね。

 

中期的な目標は年2回程度大会に出たいですね。先日2年目の集大成と自分の中で決めてNAGAという大会に参加しました。道場内でのスパーリングとは全く違うことが実感できた良い経験です。



超短期的な目標は、来週月曜日の朝のクラスに出席できるよう、日曜日の夜に飲みすぎないことですかね。


 

 

●宮本さん。めちゃくちゃ柔術楽しんでいますね。お子さんと一緒に練習したり、アメリカ中の道場に出げいこに行ったり、そして世界中どこでも出げいこができるブラジリアン柔術のウェルカムなノリ最高ですね。今回はいいお話がきけました。ありがとうございます。(藤原)

 

(撮影宮本さんとチームメイト)

 


コメント
頑張れ!先輩。
いつか決勝で会いましょう。
  • セイジ
  • 2016/12/25 6:02 PM
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